SCI'22 特別講演

量子コンピュータの現状と展望

藤井 啓祐 氏

講師

藤井 啓祐 氏 (大阪大学)

日時

5月19日(木) 15:15〜16:15

概要

もっとも基本的な物理法則である量子力学を計算の原理として用いる次世代のコンピュータが量子コンピュータである。80年代から量子コンピュータの基礎研究が行われてきたが、2014年以降、産官学を巻き込んだ量子コンピュータ開発が世界的に繰り広げられている。今では、クラウドで量子コンピュータ実機が使えるようになったり、ライブラリやコンパイラなどの開発環境が整備されてきたりしている。2019年には、Googleが50量子ビットを超える規模の量子コンピュータを実現し、特定のタスクにおいてスーパーコンピュータよりも高速であることを実証し話題になった。現在、このような量子コンピュータを機械学習、金融工学、化学・材料分野へと応用する取り組みが世界的に始まっている。実応用のためには乗り越えないといけない課題も多いが、新たな発想、異分野の人材の参入を促すイノベーションの起点となりつつある。本講演では、このような量子コンピュータの現状や、応用が期待される分野や、今後の展望など、世界的な動向やわが国の取り組みも含めてお話する。

講師略歴

2011年3月京都大学大学院工学研究科 博士課程終了。博士(工学)。2011年4月から2013年3月まで、大阪大学大学院基礎工学研究科 特別研究員。2013年4月から2016年3月まで、京都大学白眉センター特定助教。2016年4月から2017年9月まで、東京大学光量子科学研究センター助教。2017年10月から2019年3月まで、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻、特定准教授。2019年4月から、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻、教授。大阪大学量子情報・量子生命研究センター副センター長、理化学研究所量子コンピュータ研究センターチームリーダー、情報処理推進機構(IPA)未踏ターゲット事業プログラムマネージャー、東京大学工学系研究科物理工学専攻客員教授を兼任。株式会社 QunaSys 最高技術顧問。